ハシカンにドキッとしたおっさん

ある日、ショッピングモールで買い物をしているときに、広場みたいなところで待ちぼうけしていたら、後ろから視線がして、ふと振り返った。

そこにいたのは、橋本環奈の等身大パネルだった。目が合った。

あのドキドキは恋だった。

なんの看板だったかは忘れたけれど、振り返ったときに、こんな可愛い子がいたら、好きになっちゃうだろうな。もちろん、声を掛ける勇気なんてないから、黙って追いかける。ストーキング。どの店に立ち寄るんだろう。スーパーで何を買うんだろう。今日の晩御飯はなんだろう。

いや、そこまではしないけれど、したい気持ちは否定できない。

我ながら、気持ち悪いなぁと思う。今は理性で抑え込んでいるけれど、年を取って、ボケてきたら。理性が聞かなくなったら。老害では済まない犯罪ジジイの誕生だ。

年を取るのは怖くないけど、良いジジイになりたい。どうしたら、ハシカンを見てドキドキしないおっさんになれるのだろうか。